うつ病治療って時間がかかりますよね。
早い人では3か月くらいで体調が安定することもあります。
ですが、寛解した後にも薬物療法や心理療法を継続することが多いです。
これは体調安定を目的とした治療継続です。
それも含めると年単位での通院が必要になることが普通なんですよね。
このように治療が長くなればなるほど、議論になるのは飲酒の問題です。
昨今は若者の酒離れが進んでいると言われていますが、今後ずっとお酒が飲めないというのはツラいですよね。
だから、飲酒してしまう人が多いのですが薬物療法をしつつ飲酒をして良いものなのでしょうか?
今回は、そんな疑問に答えていこうと思います。
目次
原則、飲酒はNG
大原則として、薬物治療を施されている状態で飲酒するのはNGとされています。
これは、うつ病治療だけでなく、他の病気の薬物治療の時でも同じです。
風邪薬を飲むときも「飲酒は控えてください」とお医者さんにいわれますよね。
それと同じです。
というのも、アルコールによって薬の効きが悪くなったり、逆に効きが良くなりすぎて副作用が強く出てしまうことがあるんですよね。
こうなると、治療効果が損なわれる可能性があります。
だから、飲酒はNGと言われているのです。
お酒がダメな理由
薬の効果に変化がでるという以外にも、うつ病治療中に飲酒がNGな理由はあります。
それは、以下の通りです。
・睡眠の質が落ちる
・肝臓が疲弊する
・感情が乱高下する
・依存症になる確率が高い
です。詳しく説明していきましょう。
睡眠の質が落ちる
飲酒をすると睡眠の質が落ちてしまいます。
というのも、深い眠りができなくなり熟睡が妨げられてしまうのです。
その反面、眠りにつくのは容易になります。
なので、「眠りやすくなったから飲酒した方が良い」と誤解してしまう人も多いです。
ですが、長期的に見ると飲酒は睡眠の質をドンドン下げていってしまうんですよね。
睡眠の質が下がれば体の回復機能も低下していき元気になることが難しくなります。
疲労が抜けず、体の機能も不具合を起こしだすので体調が悪くなってしまうでしょう。
肝臓が疲弊する
次に問題なのが、肝臓の疲弊です。
アルコールというのは肝臓で分解され無害なものに形を変えます。
この分解はとっても重労働なんですよね。
だから、肝臓がとても疲弊します。
肝臓というのはエネルギーを作ったり、貯めておく機能があります。
それなのに疲弊してしまうとエネルギーをうまく作ったり、貯められないのでエネルギー不足になってしまうんです。
そうすると、日常的に動き回ることができなくなるんですよね。
特に、うつ病を患っている時は身体的にも精神的にも余計な消耗が起きてしまいます。
それなのにエネルギーが足りない状態だったら、どうしようもありませんよね。
感情が乱高下する
また、お酒を飲むことで人は高揚感を感じることができます。
高揚感とは「なんだか楽しい」といったような気持ちの良い感覚です。
うつ病治療中は嫌なことやツラいことの連続ですから、この高揚感をとっても強く感じてしまうんですよね。
「苦しみから解放された!」
「楽しい時間って最高!!」ってなるわけです。
ですが、お酒の効果が切れるといつもの日常に引き戻されます。
ツラい治療の時間がスタートするわけです。
まさにジェットコースターのように最高点まで上げられてからガクンと落とされるような状態です。
勢いを付けてガンガン下がった感情を安定させる、もしくは、上向きにさせるのはとっても難しいです。
結果、感情コントロールができなくなる。
そうなれば、日常生活をうまく過ごすことができなくなり、体調がより悪化していってしまうのです。
飲酒した次の日が自殺率が高いという調査報告があるくらい危険なことですので甘くみないでくださいね。
何より怖い依存症
このように感情が乱高下してくると「楽しい気分になりたい」という気持ちが強くなっていきます。
そして、簡単に高揚感を得られるお酒を頻繁に飲むようになっちゃうんですよね。
ただ、人間の身体というのは頻繁に入ってくるものには鈍感になるように作られています。
ですから、いつものお酒の量では楽しくならなくなるのです。
そうすると、どんどんお酒の量が増えていきます。
これが進んでしまうと、行きつく先はアルコール依存症です。
依存症になるとお酒を手放せなくなります。
結果、睡眠の質も肝臓の疲弊もどんどん進み体調が最悪になるのです。
これでは、うつ病治療をする前にアルコール依存症の治療をしなければならなくなります。
医師でも意見が分かれる
このように、うつ病治療中の飲酒はNGとされています。
ただ、冒頭にも説明したように治療は年単位で継続する必要があるため断酒をし続けるのも、かなりツラいです。
ですから、医師の中には飲酒を容認したりOKを出したりする人もいるんですよね。
ただ、以下の条件が必要です。
・寛解状態である
・処方中の薬がアルコール影響をあまり受けないものである
・少量の飲酒にとどめられると思われる人である。
・依存症になる可能性が低い
医師によっては、別の条件を持っている場合もあります。
ましてや、条件がそろっても飲酒は断固NGというお医者さんも多いです。
ですから、上記がそろえば飲酒ができるわけではない点を留意してくださいね。
勝手に判断せずに専門家に相談しよう
飲酒というのは、完全に断ち切るのは難しいですよね。
1か月や2か月くらいの我慢なら簡単ですが、今後ずっと飲んではいけないと言われると本当にツラいものです。
特に周りが飲んでいる時に自分が飲めないと大きなストレスを抱えがちです。
とはいえ、治療がおろそかになってしまい体調が悪化してしまうのであれば元も子もありません。
優先すべきは治療ですからね。それは、忘れないようにしていきましょう。
治療がうまくいって寛解状態になったら、医師と飲酒について相談してみてください。
そしたら医師が色々案を出してくれると思いますよ。