私は幼いころ、ギルバートのことが嫌いでした。アンがギルバートのことを嫌いだったからです。アンに感情移入しすぎて、アンが言うこと全てを真に受けてしまったんですよね。お恥ずかしい。
もちろん、秘めた恋心に気づける年齢になってからは、ギルバートのことが大好きです。
ギルバートはいつからアンのことが気になっていたのでしょう。最初からでしょうか。そう仮定して「赤毛のアン」を見ると、本当に切ない。どこまでも冷たく接するアンを叱りたくなります。
今回は、アンと仲直りするために、ギルバートがどれだけ奮闘したのかをまとめていきたいと思います。
ギルバートってどういう人?
ギルバートは、できるイケメンです。
文武両道で、人懐っこく面倒見もいい。ギルバートの周りには、いつも彼を慕う生徒たちが集まってきます。
ギルバート自身も、その人気ぶりを自覚しているようです。初めて会う女の子にウインクしてみたり、気が引きたくて女の子に意地悪をしてまわったりと、うぬぼれた振る舞いを繰り返しています。
モテモテなので許されてしまうんですけどね。
そんな気取ったギルバートですが、実は結構苦労しています。
ギルバートはアンの同級生として勉強をしていますが、年齢はアンより三つも上です。アンは皆より一年遅れて学校に通い始めたので、ギルバートは実質四学年分も勉強が遅れていることになります。
父親が病気にかかり、家の仕事を手伝わないといけない時期が長く続いたからです
それでも、ギルバートは熱心に勉強を続けました。学校に復帰してからは、常に学年トップをキープ。クィーン学院にも、アンと同列一位で合格しています。
アニメでは語られていませんが、学校の先生になった後も、働きながらお金を貯めて大学へ進学し、最終的に医者になります。
苦しいことがあっても、腐らずに努力し続ける。ギルバートとアンは、似た者同士なのかもしれません。
アンと仲直りしたいギルバート奮闘記
ギルバートはアンと仲直りした際に、アンの手を握りながらこう言っています。
「僕たちいい友達になるように生まれついているんだよ、アン。君はこれまでその運命に逆らっていたんだ」
運命だなんて、すごい殺し文句です。よほど嬉しかったんですね。
いったい、仲直りするまでの五年間に何があったのか。ギルバートに焦点を当てて振り返ってみましょう。
アンに嫌われる
事の発端は、ギルバートがアンの赤い髪を人参のようだとからかったことでした。激怒したアンは、ギルバートを石板で叩きます。
ギルバートは茫然としていました。悪意はなかったんです。アンにこっちを向いて欲しくて、軽い気持ちでからかっただけなのです。
その後のギルバートの行動は、とても紳士的でした。アンが先生に叱られそうになると、「僕がからかったのが悪い」と庇ったし、アンにもきちんと謝罪しました。
すごいですよね。三つも下の女の子に、クラスメイトの前で叩かれたんですよ。格好悪いじゃないですか。プライドを傷つけられて、怒ってもおかしくありません。
そこを素直に謝るなんて、かなり誠実でないとできないと思います。
アンの親友ダイアナは、ギルバートがあんな風に謝罪するのは初めてだと言っています。おそらくこの頃から、アンはギルバートにとって特別な存在だったのでしょう。
しかし残念ながら、その思いはアンに届きませんでした。
アンと仲直りしようと奮闘する
ギルバートはあの手この手で、アンと仲直りしようとします。結果は散々でした。
キャンディーを贈れば、粉々に踏みつぶされる。誠心誠意謝っても、目すら合わせてもらえない。りんごを贈れば、床に落とされた上にハンカチで手を拭かれる。もはや、ばい菌扱いですね。
ここまでされて、謝り続ける必要があるのでしょうか。ギルバートも悪かったけれど、叩いたアンにも非がありますよね。実際、ギルバートは叩かれた日に、アンに謝罪を無視されて舌打ちしています。
それでも謝るのは、やっぱりアンが気になっているからでしょうね。アンは発想が豊かで、勉強もできる、クラスの人気者でしたから。
アンとの仲直りを諦める
ギルバートが小舟で釣りをしていると、助けを呼ぶ声がします。
見ると、橋の脚にアンがつかまっているではありませんか。どうやら乗っていた小舟が転覆してしまったようです。
ギルバートはアンを助け、改めてからかったことを謝罪します。アンは少し考えますが、結局その謝罪を突っぱねました。
「いいえ、私あなたとは仲良しになれないわ、それにせっかくだけとなりたいとも思っていないの」
アンはこのとき、心の中ではギルバートを許していました。ですが、長年敵視し続けたこともあり、素直になれません。
一方、ギルバートはというと、明確に拒絶されたことでプライドが傷付いてしまいました。怒って、今後アンと仲良くしようなんて考えないと決意します。
あともう一歩だったのですが、すれ違ってしまいましたね。切ないです。
アンと和解する
口を利かなくなったギルバートですが、アンのことが気になってしかたありません。なにかとアンに張り合い続けたし、アンのドレス姿にはうっかり見惚れてしまいます。
そんなギルバートに、和解するきっかけが舞い込んできました。アンが大学への進学を諦め、教師になるというのです。育ての親マリラの目が悪くなり、面倒をみなければならなくなったのです。
しかし、アンが務めることになった学校は、自宅からかなり距離があります。これでは、どのみちアンはマリラの傍にいられません。
ギルバートが内定を取った学校は、アンの家の近くでした。もし、ギルバートが教師の席を譲れば、アンは家から通勤できます。
ただしその場合、ギルバートは大きな犠牲を払うことになります。代わりに行く学校はかなり遠いので、家を出て下宿しなければなりません。一人暮らしをするのは家から通うよりもずっと大変だし、大学へ行くための学費を稼ぐことも困難になります。
ギルバートは少しも迷いませんでした。アンのためなら、と快く教師の席を譲ります。男前ですね。
これがきっかけで、二人はめでたく和解することができました。ただし、まだ友達になっただけです。
原作のギルバートは、アンと結婚したくて、この後さらなる奮闘をみせてくれます。十四歳の時から好きだったとして、何年越しの恋になるんでしょう。
文武両道で男前。少し気取った部分はあるけれど、優しくて愛情深い。そんなギルバートの魅力に、アンが気づいてくれて本当に良かったです。
末永くお幸せに。