アンの話って、聞いていて心地いいですよね。心が軽くなって、小さなことで悩んでいるのが、馬鹿らしくなってしまいます。
きっと、言葉には人を変える力があって、アンはそれを使うのが特別上手なんでしょう。
今回は「赤毛のアン」の中でも、特に心に残った言葉を集めてみました。
元気が出る言葉
「これから発見することがいっぱいあるなんて素敵」
マシューとグリーンゲイブルズへ向かう途中のセリフです。アンは知らないことを恥ずかしがるのではなく、楽しむことができるのです。
「何もかも知ってたらつまらないわ、だって想像することがなくなっちゃうでしょう」
どうしてプリンセスエドワード島の道は赤いのか、アンは不思議でたまりません。土にたくさんの鉄分が含まれているからなのですが、マシューは答えられませんでした。
でもアンは気にしません。知らないことを楽しむ方法を熟知しているのです。
「何かを楽しみにして待つところに、その喜びの半分があるんだわ」
ピクニックに期待を膨らますアンのセリフです。待ち時間まで楽しめたら、お得ですよね。
「こんなおもしろい世界で、そう悲しんでばかりもいられないわね」
アンはダイアナに誤って酒を飲ませてしまい、一緒に遊ぶことすら禁止されてしまいます。つらいですね。それでも、アンは前を向いて歩くことを忘れませんでした。
「いいことがひらめいたら、ぱっと実行しないといけないの。考え直したりしたら、駄目になってしまうわ」
ベッドに飛び乗ったアンは、どうしてなにも考えずに行動するのかと叱られてしまいます。しかし、ひらめきには消費期限があるのです。
「明日という日は、何一つ間違いが起こっていない新しい日だと思うと、素敵じゃない?」
ケーキに誤って塗り薬を入れてしまったアンですが、夜にはすっかり立ち直っていました。この切り替えの早さ、見習いたいです。
「私、同じ失敗は繰り返さないの。ひとりの人間がする失敗には、きっと限界があるはずなの。だから全部しつくせば、それ以上失敗することはないはずよ」
失敗続きで呆れるマリラですが、アンは気にしていないようです。こんなふうに前向きに生きたいものです。
「他人を許すって、気高い気持ちになれるのね」
インチキ商品を買った結果、アンの髪の毛が緑色になってしまいました。しかたなくショートカットにするのですが、友人はカカシのような髪型だと侮辱します。アンはぐっとこらえた結果、人を許すことの尊さに気付くことができました。
「ロマンスをすっかり捨ててしまうんじゃないよ。ありすぎても困るが、少しは残しておく方がいいよ」
小舟が転覆して溺れかかった日、アンはもう子どもっぽい遊びはしないと決心します。しかし、マシューは子どもの部分も残しておきなさいと言ってくれました。子ども心って、意外と大切なんですよね。
「私たちはお金持ちよ。十六年もこうしてやってきたし、女王のように幸せだし、多少の想像力を持ち合わせているんですもの」
アンは友人とホテルのコンサートに参加しました。煌びやかな世界に圧倒された友人は、お金持ちになりたいと言います。しかし、アンは頷きません。どんなダイアモンドも、マシューがくれた真珠には敵わないと言うのです。
幼いころ苦労したアンだからこそ、言えるセリフですね。
思わず頷いたセリフ
「楽しいことがおしまいになると、私いつも悲しくなるの。その後でもっと楽しいことが待っているかもしれないけど、それが大抵そうでないときのほうが多いのよ。私の経験ではね」
アンが初めてグリーンゲイブルズへやって来た時のセリフです。楽しかったドライブから一転、孤児院に返されるのだと知り絶望します。このあと、養子にしてもらえることになって、泣いて喜ぶんですけどね。
「どうせやるんだったら、徹底的にやった方がいいと思ったの」
アンは自分を侮辱した相手に、謝りに行く決心をします。気が進まないことでも、やるとなったら全力です。あんまり徹底的に謝り倒したものですから、相手はすっかり毒気を抜かれてしまいました。
「あんたは物事を思いつめすぎるよ。一生の間にどのくらいがっかりするかしれないよ」
アンがあまりにピクニックの話ばかりするので、マリラはあまり楽しみにするものではない、と忠告します。分かるなあ。期待すればするほど、駄目だったとき傷つくんですよね。
「あたしが大人になったら、小さい女の子にも大人と同じように話しかけるわ」
ダイアナの妹を助けたお礼に、家へ招待された時のセリフです。大人のように丁寧に接してくれたことに感動したんですね。子どもって思った以上に大人びた部分があるので、侮れません。
「ケーキってね、特においしくしたいと思ってるときに限って失敗するものよ」
アンは特別なお客様のためにケーキを焼くことになりました。ケーキに限らず、特別なことを完璧に成功させるのって難しいですよね。どうしてトラブルって、思ってもみない所から発生するのでしょう。
「どんな子どもにも合うような、決まった育て方はない」
子どもを十人も育てたレイチェルリンド夫人のセリフです。作者が伝えたかったことの一つなのかもしれません。
「ささやかな誉め言葉は、時に躾と同じくらい子どもによくきくものだ」
落ち込むアンですが、マシューのなにげない誉め言葉に励まされます。
褒められたくて頑張るのと、怒られたくなくて頑張るのでは、どちらがいい結果をもたらすんでしょうね。
「十代のあいだは慎重に慎重を重ねなさい」
学校の先生は、アンたちに将来について慎重に考えるようにと言いきかせます。十代の頃の決断ほど、将来を大きく左右するものはありませんからね。
「最後がどうなるのかわからないまま本を返すのは、身を引き裂かれるように辛いわ」
ためにならない本を読んで、学校の先生に叱られた時のセリフです。私なら絶対返しませんね。意地でも最後まで読みます。
「女の子も自分で食べていけるのが一番だと思うの。こんな世の中ではなにが起こるか分かったものじゃないからね」
アンに進学を勧める、マシューとマリラの言葉です。女性の参政権すらない時代に、かなり革新的な考えを持っていたようです。
「大人になるというのはある意味では面白いけど、私が思っていたのとはちょっと違うみたいね」
成長して、おしとやかになったアンのセリフです。昔に戻りたいわけではないのですが、大人になるのって少し寂しいです。
さいごに
「赤毛のアン」は、本当にあった世界の何気ない日常が描かれた作品です。だから、こんなふうに共感できるセリフが多いのだと思います。
アンはどんな理不尽な目にあっても、持ち前の明るさで切り抜けてきました。私もアンを見習って、目の前のあたりまえに感謝して、日々を過ごしていきたいです。それが幸せになれるコツだと思うから。