うつ病にかかってしばらくしてから、家族から言われた言葉、それが「うつ病ってうつるの?」というものでした。
心無い一言は私の胸に深く突き刺さりました。
うつ病が本当にうつるのか、なぜうつると言われてしまうのか、今回はそれを私の実体験を元に解説していきます。
目次
医学的に、うつ病がうつるという根拠はいまのところない
まず知っておいてほしいことがあります。
それは、うつ病は人にうつる病気ではないということです。
よく考えればわかりますが、うつ病は脳の物質がうまく作り出せないことで起こるものです。
これが咳やくしゃみでうつることなんてないのです。
ではなぜ家族にうつ病がうつるといわれてしまうのでしょうか?
私は母親にうつ病がうつるのではないかと不安がられ、避けられる事が度々ありました。
母曰く、疲れている時はあなたと話していると、引きずられてしまう気がするというのです。
母親の対応に落ち込んだり憤ったりもしましたが、現在はこのことを二人で笑い話にすることができるようになったので、そんな状況になっている方も安心してお読みください。
うつの相手に引きずられる?どうしてそう感じるのか
うつ病の人はとても苦しい思いをしています。
ですが、それを周囲にばらまき放題で過ごしていいというわけでもありません。
うつの人は自分の気持ちを他人に伝えることが下手な人が多いように思います。
かくいう私は、自分の感情をどう周りに伝えるかわからないまま大人になってしまっていました。
それがうつ病となってしまうトリガーとなっていたので、カウンセリング先では事あるごとに気持ちを周りに伝えるようにとうながされていました。
母親がうつ病がうつる、引きずられると言い出したのはこの方法を試すようになってからです。
辛かった気持ち、昔の悲しかった話をすればするほど、母親の顔は曇っていきました。
私にはそれがわかっていましたが、どこまで話していいか、どこまで話しては話し過ぎなのか、よくわからなかったのです。
あとから思えば、母親は私と似た気質の人でした。
母親もまた、自分の気持ちを伝えるのが下手な人だったのです。
似た性格の私と母は、お互いにうつ病になりやすい気質をもっていたといえるでしょう。
そんな母親が、ストレスがたまる私との会話を受け入れれば、うつ病になりそうというのも頷ける話です。
自分の話は50%、相手の話は50%
私はそれからどうすれば母親と以前のように付き合えるのかを考えました。
母親の方も考えてくれていたようで、その日はむこうから喫茶店へと誘ってくれたのです。
この時、うつ病になってから初めてほどよい距離感で母親と話すことができました。
自分の愚痴ももちろん話しましたが、他人の目がきになってどうしても詳しい話は口にだすことができません。
私が話すことがなくなって押し黙ると、母親は今日みた猫の話だとか、今頼んだケーキの話をはじめてくれました。
その話を聞いている時、ふと、これが普通の距離感なのではないかと気がついたのです。
喫茶店から帰り家にかえると、母親からメールで今日はとても楽しかった、また一緒におでかけをしようといわれました。
嬉しくて、涙がでたことを覚えています。
うつ病の辛さを伝える相手はカウンセラーであり、家族ではない
家族にうつ病の辛さをわかってもらいたいという気持ちは痛いほどわかります。
私も一時期そう思って、ひたすら気持ちを理解してくれない家族に恨みの言葉をぶつけていた時期がありました。
でも、家族に話さずに誰に気持ちを伝えればいいのでしょう。 実は、その相手こそがカウンセラーなのです。
カウンセリングの際に、辛かったこと、誰もわかってくれない事をあらいざらいぶちまけてみましょう。
話しているうちに、心がスッキリとして落ち着きやすくなっていきます。
うつ病はうつらないけれど、相手の気持ちを引きずってしまうこともある
うつ病はうつりませんが、相手に自分の事ばかり話していると、相手を疲弊させてしまう原因となります。
疲弊した心の有様はうつ病にとても似ています。
これがうつ病がうつると言われる原因のように私は思います。
大切なのは上手な距離感です。
まずは、距離感の練習にカウンセラーと話をして下さい。
そして次に、家族と話をしてみて下さい。
段々、上手な距離感をとれるようになって、うつ病がうつるという話を笑い話へとかえていけるようになりますよ。