「精霊の守り人」後、バルサ、タンダ、チャグムがどうなったか気になりませんか?
チャグムと別れたバルサは、その後どこへ向かったのでしょう。タンダのプロポーズは断ったのでしょうか。
チャグムも、皇太子に戻りたくないと言っていましたが、立派に役目を果たせているのでしょうか。
今回は、この3人に焦点を絞って、原作の続編を辿ってみましょう。
精霊の守り人
百戦錬磨の女用心棒バルサが、暗殺されかけていた皇太子を助けたのが、ことの発端でした。
チャグム皇子は、水の妖怪に取り憑かれていました。そのせいで、父親である帝に殺されそうになります。バルサは必死に追手をまき、幼馴染タンダの家へ逃げ込みます。
呪術師であるタンダには、チャグムに取り憑いているものの正体がすぐに分かりました。水の妖精ニュンガロイムの卵です。
殺すなんてとんでもない。ニュンガロイムは雨を降らせる精霊です。
もし、卵が無事に孵らなければ、この地に二度と雨が降らなくなってしまいます。
バルサとタンダは、チャグムを助けるために情報を集めながら、親子のように生活をします。よほど居心地のいい時間だったのでしょう。タンダはこの時、「ずっと3人で暮らさないか」とバルサにプロポーズをします。が、残念ながら保留にされてしまいました。
結局、卵は無事孵りました。たくさんの人が協力してくれたおかげで、干ばつの兆候はなくなり、新ヨゴ皇国に、再び雨が降り出します。
この件で、チャグムは英雄になりました。バルサやタンダとの穏やかな暮らしを惜しみながら、皇太子の生活へと戻っていきます。
一方、バルサは故郷カンバル王国へ戻る決意をしました。タンダとの結婚のことを考えるためにも、心を整理したいと考えたのです。
初めはショックを受けていたタンダですが、結局笑って送り出します。二人が結ばれる日はくるのでしょうか。
闇の守り人
バルサが故郷に戻って、過去を清算する話です。
バルサは王家の陰謀に巻き込まれ、6歳のときに故郷を追われます。以降、何年も追手から逃げ続ける日々を送ってきました。
自分の人生を台無しにされただけなら、ここまで悩みません。引っかかっているのは、自分を生かすために8人の魂を犠牲にしたことです。これを乗り越えない限り、バルサは幸せになれません。
とはいっても、故郷に戻ってどうするつもりなのでしょう。首謀者はもう他界しています。関係各位に復讐してまわるという手もありますが、格好いいバルサが、そんなことをするわけありません。
では、どうしたのか。故郷を救うことで、気持ちを整理します。
初めは、恩人ジグロの親戚に真実を伝えるだけでいいと思っていました。
しかし、故郷が誤った道に進もうとしており、助けを求められます。
最初は迷いました。バルサはお人好しですが、聖人君主でもありません。故郷を憎む気持ちも捨てきれないのです。
それでも、最後には憎しみに打ち勝ち、恩人ジグロへの罪の意識にもけりをつけます。バルサは現在の王に自分の過去を打ち明けた後、タンダの元へと帰っていきました。
夢の守り人
タンダが活躍する話です。
タンダの体が、化け物に乗っ取られてしまいました。必死に正気に戻そうとするバルサですが、タンダは問答無用で襲い掛かってきます。
へなちょこタンダだから襲ってきても大丈夫、と侮ってはいけません。操られたタンダは痛みを感じないし、死を恐れないのです。関節を外そうが、骨折しようがお構いなしに攻撃し続けます。
バルサはタンダを殺すくらいなら、自分が死ぬほうがマシでした。槍を捨てて、なるべくタンダを労わりながら応戦します。
いったい、タンダに何があったのか。どうやら、姪を助けるために呪術を使った結果、逆に敵に体を乗っ取られてしまったようです。
ちなみに、タンダの心は異世界にいます。異世界で心地いい夢に囚われた人たちを、助けて回っているようです。
自分が死にかけているというのに、人の心配をしてどうするんでしょうね。
タンダの師匠トロガイのファインプレーで、タンダの体はなんとか解放されました。かなり弱っていますが、命に別状はありませんでした。
しかしこの一件、バルサは涙ぐむほど堪えたようです。
虚空の旅人
「虚空の旅人」では、チャグムが主人公です。隣国の危機を救って、他国の王子たちの信頼を勝ち取ります。
新ヨゴ皇国の南に、サンガルという王国があります。そこの王が世代交代をするというので、チャグムはその式典に参加しました。
ところが、サンガル王国は敵の手に落ちようとしていました。海を隔てた南に、タルシュという戦争好きの王国があります。その国が攻め込むための陰謀を企てていたのです。
チャグムはその陰謀を見事に暴きました。各国に援軍を要請して、サンガル王国の危機を救います。
サンガル王家はこの恩返しとして、チャグムの国が敵に攻められそうになった時、敵の動きを密告してくれました。
神の守り人
アスラという美少女を助ける話です。
アスラには、凶暴な神が宿っていました。例えるなら、弓と槍で戦う時代に、ダイナマイトが登場したという感じです。
周囲の反応は二つに分かれました。危険だから殺そうとする派閥と、利用しようという派閥です。
バルサとタンダは、偶然アスラが殺されそうになっている場に居合わせました。助けてほしいと頼まれたわけではありませんが、お人好しの二人は放っておけません。バルサはアスラを助け、タンダは二人を逃がすために時間を稼いで人質になります。
幼いアスラは、人を殺すことの恐ろしさが理解できません。危機に陥るたびに、殺戮を繰り返します。バルサは、アスラに血塗られた人生を歩んでほしくありませんでした。懸命に人殺しをやめるように説得します。
初めはバルサの言葉が理解できないアスラでしたが、最後には心に届いたようです。殺人の恐ろしさに気づき、自らの命を懸けて神を封印します。
タンダは、アスラとその兄チキサを引き取りたがりました。しかし、バルサは私と暮らしてもロクなことがないといい、信頼できる女性に託します。
バルサには、タンダと一緒に暮らしているという意識があるんですね。もう結婚すればいいのに。
蒼路の旅人
「蒼路の旅人」では、チャグムが主人公です。帝に鬱陶しがられつつも、戦争を止めるために奮闘します。
ものすごく強い国が、自国に攻め入ろうとしているとします。あなたなら、どうしますか?
正面から戦っても、勝ち目はありません。猫が虎に立ち向かうようなものです。
戦わずに傘下に入ることもできます。が、その場合、国民には重い税が課せられる上に、若い男を兵士として取られてしまいます。
チャグムの答えは、「どちらも嫌」でした。近隣諸国と同盟を結んで、敵の攻める気を削ごうと考えます。
ですが、父親である帝は、とてもプライドが高いのです。隣国へ助けを求めるなんて、許してくれそうもありません。そもそも、普通に近隣諸国を回ったとして、敵に邪魔されて終りです。
そこでチャグムは、帝の嫉妬心を利用しました。帝は、臣下や国民から人気の高いチャグムが目障りでしかたありませんでした。そこで、新しい世継ぎを作り、チャグムの暗殺を企てます。
チャグムは暗殺者に殺されたと見せかけて、海に落ちました。海流に乗って近隣諸国に流れ着くことにかけたのです。
はたして、こんな捨て身な作戦が上手くいくのでしょうか。「天地の守り人」に続きます。
天と地の守り人
チャグムが帝になり、バルサとタンダが結ばれる話です。
この話では三つの大きな問題がありました。
①帝が絶対に勝てない戦争を始めた
②タンダがその戦争に駆り出された
③大量の雪解け水で、都が水没することが判明した
①が③で解決できるのは、なんとなく分かりますよね。いくら敵が強くても、自然災害には勝てません。敵の兵士たちには申し訳ないですが、流されてもらいましょう。
さらに、チャグムは近隣諸国と同盟を結び、援軍を引き連れて戻ってきました。よし、これで勝てる。
問題はタンダです。バルサはチャグムを手伝うために外国にいました。タンダが戦争に参加させられているなんて知らなかったのです。
優しいタンダが戦争に出たらどうなるかなんて、火を見るよりも明らかです。一刻も早く、助けなければなりません。
バルサは町の人を助けながら、タンダを捜します。ようやく見つけたときには命が尽きかけていました。左腕を切り落とせば命は助かるかもしれませんが、医者はいません。バルサはタンダに麻酔を飲ませ、左腕を切落し、必要な応急処置を施します。
敵の軍隊は、都と一緒に沈んでいきました。この時、新ヨゴ皇国の帝は、逃げずに宮と一緒に沈む道を選びます。帝は自分を神だと本気で信じていました。宮から出て穢れるわけにはいかなかったのです。
こうして、チャグムは17歳にして帝になり、国の復興に力を尽くします。
タンダは命を取り留めました。
しかし、傷ついた心はなかなか元に戻りません。バルサは仕事をする気にもなれず、つきっきりで介抱し続けました。
ようやく外に出られるまで回復した頃、バルサはタンダの頭を引き寄せて、頬にキスをします。タンダは愛おしそうにバルサへキスを返しました。
タンダの心が癒える日は、そう遠くないようです。
まとめ
結局、バルサとタンダは結婚し、チャグムは立派な帝になることができました。
素直に喜べない部分もありますが、3人とも収まるところに収まれたようで安心しました。今まで苦労した分、幸せになってほしいです。